山形県立点字図書館

目次
お知らせコーナー
便利グッズのご紹介
みんなの広場
点字図書館ボランティアインタビュー
館長室から
職員のフリートーク
<図書紹介>
デイジー図書(CD)
点字図書
テキストデイジー図書
編集後記

 

お知らせコーナー

*令和4年度利用者アンケートの実施について

点字図書館に関するご意見やご要望、点字図書館を利用されての感想や満足度などを伺い、今後の図書館運営に反映してまいりたいと思います。別途郵送、またはメールでアンケート用紙をお送りいたしますのでご協力お願いいたします。

 

*日本盲導犬協会からのお知らせ

盲導犬情報セミナーを開催します。
オンラインによる盲導犬情報セミナーを開催します 。
盲導犬との歩行や生活から取得までの流れなど、実際に盲導犬と暮らしているユーザーの体験談も交えながらの1時間半のセミナー。質疑応答の時間もあります 。
盲導犬との暮らしにとても興味のある方から、少しだけという方まで、 医療・福祉・教育関係に携わる方もぜひお気軽にご参加ください。
対象  目の見えない見えにくいかたおよびそのご家族(当事者)、医療・福祉・教育等関係者(支援者)
内容
・盲導犬との歩行、生活について
・ユーザーの体験談
・盲導犬に関する法律、取得までの流れ
・質疑応答
日時  令和5年3月25日(土) 午後2時~3時半
申込み締切:3月13日(月)
ツール zoom
費用  無料
定員  視覚障害当事者15名程度、支援者、医療関係者10名程度
【問い合わせ先】
〒223-0056 神奈川県横浜市港北区新吉田町6001-9
公益財団法人日本盲導犬協会 神奈川訓練センター視覚障害サポート部
Tel:045-590-1595

e-mail:info@moudouken.net

 

 

便利グッズのご紹介

このコーナーでは、視覚に障がいのある方に便利な商品などをご紹介しています。
今回は、「ボディバッグ」と「背負い型トートバッグ」をご紹介いたします。
京都ライトハウスが発売した新商品で、昨年の日本ライトハウス展でも出品されていて、1時間で完売するほど人気だったそうですよ!

「ボディバッグ」
(税込み2,200円、写真右)
「背負い型トートバッグ」
(税込み3,500円、写真左)

材質:ポリエステル
色 :チャコール、ネイビー、ブラック、オリーブの4種類

「ボディバッグ」の大きさは、縦19センチ、横31センチです。点字のメッセージが入っていて、「明日から本気出す」「上を向いて歩こう」「人生思い通り」「自己中で行くぞ」の4種類から選べます。
「背負い型トートバッグ」の大きさは、縦44センチ、横44センチ、マチ14センチです。点字図書がすっぽり入り、背負うと口が閉まる作りです。ワンポイントの絵柄が入っていて、「ちどり」「ト音記号」「りんご」「クローバー」「ラブラドル」の5種類の絵があります。

今は2月でまだ寒いですが、これから春になってあったかくなると外出も楽しくなってきますね。そんな時、このトートバッグに点字図書を入れて、外出先の空き時間や、春の公園のベンチで図書を読む・・・そんな時間も素敵ですよね。
発売した京都ライトハウスの副所長で、全国のデイジー図書製作でも中心的な存在として大活躍なさっている松田裕美さんから、メッセージを頂戴しました!

「外出には欠かせないバッグ。両手が空く両製品はとても便利で安全にお出かけができます。触って楽しい、見た目もおしゃれなドット・テイラー製品。図柄で楽しむ、文字で楽しむ。毎日のお出かけがきっと楽しくなるはずです。」

松田さん、メッセージありがとうございました! バッグの素敵さが伝わってきますね。
「ボディバッグ」の点字メッセージの中の「アシタ カラ ホンキ ダス」って言葉・・・やる気出したいけどでないし・・・よし、明日からしよ・・・みたいな感じでなんかいいですね。脱力感の中に、やる気が顔をのぞかせたり、かくれちゃったりしているみたいな・・・素敵なメッセージですね。
みなさんのやる気の出しかたなんかも、ぜひ教えてください!「みんなの広場」のコーナーで紹介させていただきます。図書館だより担当西田がやる気の出ない時は、日本、いや世界でも最高峰のラップグループ、ライムスターの「待ってろ今から本気出す」を何回も聴きます。祭囃子的なビートと、それにのるキレッキレのラップの掛け合いがメチャメチャかっこいいので、あっという間にやる気になってきますよ!

バッグの注文先は
京都ライトハウス情報製作センター  電話 075-462-4446
メールアドレス seisaku@kyoto-lighthouse.or.jp
ご自分でのご注文が難しい方は、点字図書館の西田までご連絡ください。

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昨年の2月号で、「目が不自由です」と書かれた「お知らせキーホルダー」のご紹介をしました。目が見えにくい方は、外見からはわかりにくいため、カバンなどにつけて、目が見えにくいことをさりげなく伝えるためのキーホルダーです。
いくつかお問合せがあり、ご注文いただきました。
今回、新しくクリップと安全ピンのついた「お知らせバッジ」も発売になったため、改めてご紹介いたします。

「お知らせバッジ」「お知らせキーホルダー」
価格  各500円(税込み、別途送料がかかります)

製品仕様
・大きさ:直径5cm、厚さ3mm
・アクリル製 ・重さ10g

名古屋ライトハウス情報文化センターで、視覚障がいの理解につながるアイテムの一つになれば、という思いから、発売した商品です。
「『ヘルプマーク』だけでは、何の障がいかわかってもらえない」という当事者の声がきっかけで作成されました。
お問い合わせ、ご購入は名古屋ライトハウス情報センター 用具販売
(電話 052-654-4522、メールyougu@nagoya-lighthouse.jp)までお願いします。ご自分で、問い合わせ、ご購入が難しい方は点字図書館の西田までお問合せください。

 

 

みんなの広場

※上山市の利用者の木村清さんより、視覚障害者支援アプリの情報と、それに関する新聞記事の情報を教えていただいたので、ご紹介させていただきます。
まずは、昨年12月に山形新聞に載った記事を紹介させていただきます。

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AI歩行支援を体験 河野デジタル相
河野太郎デジタル相は20日、カメラと人工知能(AI)で周囲の風景や障害物を検知し、音声で歩行を支援するスマートフォンを使った視覚障害者向けサービス「ダイアログ・アイ」を東京都内で体験した。河野氏は「デジタル技術で、障害のある方の暮らしを便利にできる可能性を多くの人に気付いてもらいたい」と訴えた。
河野氏は目隠しをしてスマホを胸から下げ、つえを突きながら、東京・永田町の周辺を歩いた。コンビニにも入店し、オペレーターからの案内も受けながら、おにぎりやサンドイッチを買った。

スマートフォンによる案内を受けながら、点字ブロック上を歩く河野デジタル相=20日午後、東京都千代田区
「山形新聞2022年12月21日 」「写真提供/山形新聞社」

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記事にある「ダイアログ・アイ」のサービスとは、視覚障がい者支援アプリ「Eye Navi(アイナビ)」にオペレーターサービスが加わったものです。
アイナビについて、木村さんより教えていただいています。
「このアプリは、現在モニターに選ばれた方がアプリの検証を行っていて、今年の春に公式版がリリースされる予定です。モニターに選ばれた方が、現在アプリの検証を行っています。ビデオのサポートを受けずに、利用するだけだったら、無料で利用ができます。福岡県のコンピュータサイエンス研究所が開発中です。このアプリは、iPhoneだけです。Android版はありません。ナビは当然で、歩行者信号機の青と赤の情報はもちろん、横断歩道・点字ブロック・路面上のポール・車止めなど約50種類の物体を解析して音声で案内をするなどの機能があります。」

木村さん、いつもいろいろと教えていただきありがとうございます。
歩行者向けナビゲーション機能だけでなく、進路上の障害物や信号の色の検出など、本当に様々なことを教えてもらえるアプリなんですね。人工知能ってすごいところまで来ていることを感じます。また、コンピュータサイエンス研究所では、盲導犬ロボットの開発も今後進めていくそうです。すごいですね! 同行援護者が不足している現在の状況などから、同社はこのような開発を進めているそうです。素晴らしい取り組みですね。アイナビについては、一般利用が開始されたら、またお知らせさせていただきたいと思います。
アイナビについての詳しい情報は、以下のコンピュータサイエンス研究所のリンクをご参照ください。

https://www.computer-science.co.jp/website/eyenavi/

ぜひ、便利なグッズ、イベントの感想、図書の紹介、その他なんでも結構ですので、感想やご意見など「みんなの広場」のコーナーまでお寄せください。
先日、新型コロナウィルスに感染した利用者の方が、いろいろと大変な思いをした、とおっしゃっていました。皆様もくれぐれもお気をつけてお過ごしくださいませ。
思いがけず感染してしまいどのような形で乗り切ったか、という体験談なども、もし可能であればぜひ図書館までおしえていただけれありがたく思います。
他の利用者の方に聞いてみたいテーマや悩みごとなどもあれば、そちらのご提案もお待ちしています!

 

 

点字図書館ボランティアインタビュー

前号で、点字図書館ボランティアで表彰受賞した方のお名前だけご紹介しました。
今号では、その方々のインタビューを掲載します。
まずは、点訳ボランティアとして長年にわたって務められ、今回社会福祉功労者知事表彰を受賞なされたお二人に、いろいろとお話を伺いました。

令和4年度社会福祉功労者知事表彰受賞
岸 道子 さん(点訳ボランティア、山形点訳赤十字奉仕団委員長)
桝川 笙 さん (点訳ボランティア)
(取材・文=西田竜也 場所=点字図書館)

――お二人は、いつごろから点訳をなされているのでしょうか。
岸 道子さん(以下、岸) 平成四年に点訳奉仕団に入りました。その前に、通信で点字図書館とやりとりして点字を勉強しました。知らない世界のことを勉強するのが楽しくって、夢中で勉強していました。
川 笙さん(以下、桝川) 平成一二年に点訳奉仕団に入りました。その前に、同じように通信で点訳を勉強しました。

――現在は、点訳はパソコンで打ちこんで、点字プリンターで印刷していますが、以前は手打ちで打っていたんですよね。
 一文字ずつ打ちこんでいました。点筆を握りしめて集中して作業をしているので、夏場に気づくと用紙が汗でぬれてしまって、大変なことになっていた・・・などということもありました。今だとパソコンで間違いは修正できますが、手打ちの頃は一字間違いを発見するだけで、その日の作業が全て無駄になったりしました。
桝川 現在と違って、手作業でしたので一年間で一冊点字本を完成させるのがやっとでした。
 手打ちで打っていた頃は、一日中夢中で打っていたこともありました。打っている時は夢中で気づかないのですが、終わって気が付くと、手が腱鞘炎寸前という状態になったりもして・・・でも夢中で打っていた頃の達成感が現在まで点訳と関わり続けている原動力にもなっている、と思います。
桝川 今、岸さんのお話を聞いていて、手打ちで点字を打っていたころの苦労がある分だけ今まで続けてこれた、という自負のようなものもあるかなあ、と思いました。――人それぞれ書く字に特徴があるように、手打ちの頃は、点字を打つ人それぞれに点の特徴があった、という話を聞いたことがあります。
 点筆の持つ角度や、力の入り具合によっても確かに違ってくるかもしれません。自信がない時に、少し迷いのある点を打ってしまったりとか・・・順調に進んでいる時は点がきれいに打てたり、など確かにあったかと思います。触読する方の指の感覚は鋭敏ですので、そのような機微も感じ取れるのだと思います。

――お二人とも、今まで手掛けた点字本が30タイトル以上あります。他にも、岸さんは校正もたくさん手掛けられていて200冊近くの校正をなされていますし、枡川さんも「県民のあゆみ」等の定期刊行物を80冊も手掛けていらっしゃいます。長年にわたって、ボランティア活動にこれだけの情熱を注ぎ続けるモチベーションはどこにあるのでしょうか。
桝川 そんなに意識していたわけではなく、気づいたらこれだけの冊数つくっていた・・・という感じかなあ・・・
 いろいろ忙しい中でも継続してこれた、というのは、やはり点字にそれだけの魅力を感じ続けてきたから、だと思います。

――個人的に読書で楽しむ図書と、点訳で手掛ける図書の違いはありますか。
 点訳は利用者の方を常に意識しているので、個人的な読書とは全く違います。依頼される本の中には、自分の全く興味のないジャンルの本もあります。それでも、この本の点訳本を待っている利用者の方が必ずいるわけですから頑張ります。中には打ち終わった後に、知らない世界を勉強させてもらったな、と思う本にも出会います。逆に、自分が好みの本や、すごく興味のある本を点訳するときは、内容にどっぷり入り込まないよう距離を置きます。そうしないと、内容の面白さに自分自身が引っぱられてしまい、正確な点訳に影響がでてしまうからです。
桝川 私は、どんな本でもどなたかが一生懸命に情熱をもって、つくってくださったもの、だと思っています。ですから、自分の興味は置いておいて、どなたかが一生懸命つくってくださった図書を、正確な点訳で利用者の方に届けること、それだけを考えてやってきました。

――今現在、点字図書館でもボランティア養成講習会を行っていて、新たに点字を志す方に勉強していただいています。
お二人のように、長年にわたって質の高い活動を続けていく秘訣のようなものはありますか。
 私達の点訳活動は自宅での作業になりますから、家族の理解と協力は必要だと思います。また点訳は決められたルールがとても多いので、充分に時間をかけ間違いのないよう集中して取り組まないといけません。時には、家庭の時間を割いて行うこともありますので、家族の協力には感謝しています。
桝川 長年ボランティアを続けている方は、そのような家族との信頼関係も築いた上で活動をなされている方がほとんどだと思います。ただ「点字に興味がある」とか「なんとなく・・・」というだけでは続けていけない、と思います。

――そのように真摯に点字と向き合って一生懸命活動なされている方が全国にいらっしゃって、サピエのネットワークにもなり、全国の読者の元に点字本が届いているのですね。
 たまに利用者の方から感謝のお手紙などを頂戴する時もありますが、本当にやってきてよかった、と励みになります。
桝川 点字を必要としてくれている方のために、正確な点字を心がけてきました。利用者の方に届いていればとてもうれしく思います。

取材後記
岸さん、桝川さん、いろいろお話を聞かせていただいてありがとうございました!
お話の中で、悩んだ時は点に迷いがでてしまう、なんていうお言葉もありましたけど・・・なんか書道みたいで深いですよね・・・
ボランティアとしてきちんと家族にご理解までしていただき、長年本当にたくさんたくさん点訳をしてくださったこと、そしてその点字に込められた思いが全国の読者の元に届いていること、うれしいですし本当に頭が下がる思いです。
あとお二人とも、点筆で打っていた時代のことのお話する時は・・・なんか少女のように目が輝いて、本当にうれしそうにお話するんですよね!点字への思いが痛いほど伝わってきて、少し泣きそうになるほど感動してしまいました。ありがとうございました!

続いては、社会福祉功労者知事表彰と鉄道弘済会朗読録音奉仕者(全国)を受賞なされた音訳のお二人にお話を伺いました。

令和4年度社会福祉功労者知事表彰受賞
佐藤 玲子 さん (音訳ボランティア)
令和4年度鉄道弘済会朗読録音奉仕者表彰
山﨑 直子 さん(音訳ボランティア)

佐藤 玲子さん(以下、佐藤) 先日授賞式に出席して、式典の前に個室の昼食会場が用意されていて、そこでおいしい海鮮丼を食べました。
山﨑 直子さん(以下、山﨑) 鉄道弘済会の授賞式では、コロナということもあって、お弁当の昼食をいただきました。
佐藤 私が鉄道弘済会の賞を受賞した時は、コロナ前だったのでお弁当ではなく、豪華なお食事がでましたよ!

――あの~・・・今日はお食事のことをお聞きしたいわけではなくて・・・お二人とも表彰受賞おめでとうございます! 受賞の要件として、10年とか15年以上といった長年の活動実績がありますが、お二人の活動年数を教えていただけますか。
佐藤 37年になります。
山﨑 私は29年です。

――それだけ長年ボランティア活動を続けられている原動力は、どこからくるのでしょうか。
山﨑 今年の授賞式で一緒になった他県のボランティアの方が「自分は音訳依存症だ」と言っていました。私も依存症に近いと思いますので、病気なのは私だけじゃないんだ、と安心しました(笑)。音訳が本当に好きで、一年、二年と続けているうちに気が付いたら29年たっていた、という感じです。
佐藤 私もマイクの前で声を出すのは好きなので、依存症の方の気持ちはよくわかります(笑)。音訳にたずさわるようになって、一冊完成させることの達成感がたまらなくて、次々と読ませていただきました。その喜びを味わってしまってからというもの、それまで趣味だった編み物や洋裁は興味がなくなってしまいました(笑)。

――読む時に気をつけていることは何ですか。
佐藤 やはり、図書を聞いてくれる方のことは常に考えています。自分の好きな内容の本でも、独りよがりの音訳にならないように、利用者の方にきちんと届くように気をつけています。私が音訳を続けることができるのは、利用者の方あってこそなので、その方たちには感謝の気持ちしかありません。時には利用者さんが求めている本で、自分の不得手なジャンルの本を読まなくてはならない時もありますが、その時もとても勉強になり、自分のためにもなります。
山﨑 自分の知らないジャンルや、意にそぐわない本を読む時の方がいい音訳になっていることが多いような気がします。冷静な頭で読んでいるので、バランスがいいんですよね。逆に、「この本はいい本だから、きちっと読まなくちゃ」なんて思っちゃうとスピードが遅かったり声が重かったり、あまりいい音訳にはなっていないことが多いです。本屋さんにいけば、いい本もそうじゃない本もたくさん並んでいます。様々な本を利用者の方に分け隔てなく届けていく、というのは必要なことだと思います。

――音訳を一冊する時は、どんな工程で進めていくのでしょうか。
佐藤 まず、下読みをざっとします。当然わからないところは調べたり、読みにくそうなところの練習はしますが、読みこむまではしません。
山﨑 下読みの段階で真剣に読みこんじゃうと、実際に声を出して読む時に、新鮮味がなくなってしまうんですよね。私の場合は、例えばミステリー小説を音訳する時は、下読みは八割くらいまでのところでやめておいて、最後のところは本番にとっておきます。なぜかというと下読み段階でその本の全てを読んで、理解してから本番の音訳をしてしまうと二番煎じみたいな音訳になってしまって面白くないんですよね。新鮮な音訳を届けるためにも、私はそのようにしています。

――音訳と、個人で楽しむ読書との違いってどのあたりにありますか。
山﨑 音訳は、下読み、本番、編集、確認、と計4回も一冊に目を通すので、どんなに面白い本でもその後は読み返さないことが多いです。個人的な読書とは、頭の働かせ方が違うんですよね。音訳の場合は発声に気をつかったりとか、編集時に誤読を探したりなどしながら読み進めていきますので、内容が頭にはいってこない時もあります。ミステリー小説だったら、最後まで読んで犯人が誰かはわかっても、なぜその犯行にいたったかはまるで覚えていない、といったこともある(笑)。

――これまで音訳してきた図書の中で印象に残っている本は何ですか。
佐藤 朝吹登水子さんの「愛のむこう側」という本です。私が音訳した7冊目の本でした。

――確かに、履歴を見ると1991年に音訳していらっしゃいます。
佐藤 先日どうしても読み返したくなって、本屋さんを探しても絶版でした。でも図書館でまだ借りることができました。

――どんな内容の本でしょうか。
佐藤 朝吹さんの自伝的小説です。上流階級の娘が離婚を経験し、その傷心を癒すためにフランスに留学して、そこで恋に落ちたりするのですが、戦争がはじまり結局帰国してしまいます。帰ってからもフランスへの思いを断ち切れない日々の中で、ある時ハイヒールを履いて日本の街並みを歩くのですが、「やはりこのハイヒールは日本には似合わない、フランスの石畳の上でこそ、このハイヒールは輝いて見える」と主人公が追憶する場面があるのですが、そのシーンが忘れられなくて・・・今回読み直して30年前の感動がよみがえってきたりしました。でも、その時の音訳を聞き返すとペースが遅いんですね。あまりにも本の内容に自分が入りこみすぎてしまっていたのかもしれません。

――本との再会・・・うつくしいですね・・・山﨑さんの印象に残っている一冊は何でしょうか。
山﨑 「キリンの首はなぜ長いのか 動物進化の謎にせまる」です。一番最初に音訳した本でした。動物ネタがたくさん書いてある本なのですが、「女王蜂」と書いてあるところで、本来「じょおうばち」と読まなければいけないところを、慣例的な読み方の「じょうおうばち」と全部読んでしまったんですね。当時はテープだったので、全部直すのに苦労しましたし、最初だったので他にもいろいろな苦労があって忘れられない一冊です。最近エリザベス女王のニュースもありましたが、当時のことを思い出したりもしました。
佐藤 私も駆け出しの頃に、忘れられない失敗があります。本の中で二、三行ほど歌の歌詞が出てきたのですが、その箇所で歌詞にあわせて自分で歌ってしまったんですね、メロディーつけて・・・

――ハハハ!(一同爆笑)
当時の音訳担当の方から「佐藤さん、歌ってたよね・・・」とあきれらられてしまいました・・・
他の本でも「おーい、と呼ぶ声が聞こえる」という一文を読む時に、マイクから離れていって「おーい!」と叫んでみたりとか・・・

――ハハハ!(一同またまた爆笑)
佐藤 いろんなことやっていましたよね・・・

――ちなみに歌ってしまった音訳のタイトルを教えてください!
佐藤 それは内緒です・・・

取材後記
佐藤さん、山﨑さん、ありがとうございました!
一回の音訳に下読みからはじめて、何度も何度も手がかかっている、ということ・・・点字図書館にいながら知りませんでした。音訳ボランティアの皆様、ご尽力くださり本当にありがとうございます。
お二人のお話は、笑いのたえない素敵なインタビューでした! しかしお二人の身を削るような長年の努力もしっかりと感じられたのではないでしょうか。
笑ってお話しながらも、自信や凄みのようなものが発言の端々からビシビシこちらに伝わってきて、笑いながらも感動している、そんな素敵な時間を過ごすことができました!
いかがでしたか。次号でも引き続き、受賞者インタビュー予定しています。

 

 

館長室から

館長 佐藤孝喜

皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
昨年末は、県内でも高病原性鳥インフルエンザの発生、鶴岡市の土砂崩災害、大雪警報の発令など心配な事案がいろいろありました。
新型コロナウイルスについては、いまだ収まりを見せないところですが、私自身も12月2日に陽性になってしまい、関係の皆様に大変御迷惑・御心配をおかけしました。幸い館内に広がることもなく済みました。改めて、利用者やボランティアの皆様の健康と安全を確保するよう、感染防止対策に努めて参ります。

さて、今年は卯年です。卯年は芽を出した植物が成長して茎や葉が大きくなる時期で、目に見えて大きく成長する年だとのことです。また、うさぎは跳びはねることから飛躍する年でもあるそうです。景気や社会が良くなっていくことを期待したいと思います。昨年から持ち越した全国視覚障害者情報提供施設大会開催をはじめ、点字図書、録音図書等の作製・普及、視覚障がい者への情報提供や生活訓練、ボランティアの養成など各種事業に精一杯取り組んでまいりますのでよろしくお願いいたします。
また、うさぎは大きな耳を持ち、よく聴こえると言われます。この「聴く」の漢字は諸説ありますが、十四の心で耳を傾けてよく聴くことだという話を伺いました。インターネットを見ると、受容する心、共感する心、好意的な心、興味を示す心、肯定する心、優しい心、理解する心、ゆったりした心、誠実な心、先入観のない心、明るい心、公平な心、信頼の心、感謝の心といったものがあげられていました。周りの方々のお話をよく聴いて物事を進めるよう努めて参りたいと思います。

最近知った、視覚障がいの偉人を2人紹介します。
1人は東京大学先端科学技術研究センター教授福島智氏です。映画「桜色の風が咲く」を拝見しました。9歳で失明、18歳で聴力を失いながらも世界で初めて盲ろう者の大学教授となった話を描いた実話です。特に、母と子のコミュニケーション手段として指点字を発明するところを小雪さんと田中偉登(たけと)さんが演じているのが印象的でした。
もう1人は塙保己一という盲目の学者です。江戸時代に666巻にも及ぶ「群書類従」という大文献集を作成するなど大きな功績を残しています。埼玉県では3偉人として渋沢栄一などとともに紹介されています。現在、塙保己一の生涯を映画化する動きもあり、楽しみにしています。

 

 

職員のフリートーク

館長補佐 高橋貴志

日頃より、点字図書館をご利用いただき、ありがとうございます。
今年も早いものでひと月が過ぎてしまいました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
昨年12月31日未明に鶴岡市西目で土砂崩れが発生し2名の方がお亡くなりになりました。ご冥福御お祈りいたしますとともに被災された方々が一日も早く日常生活を取り戻される事をお祈りいたします。

しかしながら令和5年1月6日時点では避難解除のめども立っておらず避難生活の長期化が予想されています。この地区には点字図書館をご利用いただいている方はおりませんが、今回の土砂崩れは災害救助法が適用されており、要援護障害者等(児童を含む)に対する様々な配慮がなされております。補装具や日常生活用具の必要に応じた支給給付、避難所における視聴覚障害者等に対する情報・コミュニケーション支援等も含まれております。高齢で見えにくくなっている方や弱視の方等がいらっしゃれば、必要な情報提供や関係機関へおつなぎいたしますのでご連絡ください。

今回の土砂崩れの発生要因は12月の観測史上最多となった降水量と23日の大雪、28日の気温上昇により降った雪が溶け、地中に含まれる水の量が多くなりもろくなった山の斜面が耐え切れず崩壊したとみられています。

今回は大雨警報・土砂災害警報、土砂災害警戒情報が出ておらず、災害の発生を予測することは難しい状況だったと思われます。しかし今回崩落した斜面は2009年に土砂災害警戒地域に指定されていた地域で、情報が生かせず2名の命が失われたことは悔やまれます。この2名の方がご自宅のどこの部屋で被災されたかは不明ですが、自宅の2階で山側と反対側の部屋にいればもしかしたら命は救われたかもしれないのではと考えずにはいられません。

各地で発生する地震、記録的大雨や大型化する台風等、比較的災害の少ないといわれる山形県でも災害が毎年のように発生しております。治水工事や各市町村のハザードマップなどによる減災対策も進んでいますが、ハザードマップから情報を得ることが難しい方は、ぜひ役所の防災安全課等担当課等へ自宅の周辺にはどのような危険性があるか、洪水や地震など災害による避難場所はどこか、福祉避難場所はどこかなど問い合わせしてください。専門の担当者が説明をしてくださるはずです。備えあれば憂いなしです。

点字図書館ではこれからも皆様に少しでも役立つ情報を提供してまいりたいと思います。「こんな本はありますか」「こんなことで困っているなど」お気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

〈図書紹介〉

紹介図書の始めに番号をつけましたので、リクエストの際は番号をお伝えください。

デイジー図書(CD)

1 出口治明の人生問答集 あなたの「問題」「悩み」がすっと消えていく!
出口 治明 著  三笠書房  4時間04分
苦手な人の対処法、歴史の学び方、夫婦の危機、親子関係…。人生の荒波をくぐり抜けてきた出口さんが、様々な疑問や悩みに答える。

2 10分で名著
古市 憲寿 著  講談社  6時間25分
「神曲」「源氏物語」「相対性理論」…。難解な名著や古典12冊の読み方や読みどころをその道のプロが紹介。冒頭には各作品の基礎知識を収録する。

3 倉持仁の「コロナ戦記」 早期診断で重症化させない医療で患者を救い続けた闘う臨床医の記録
倉持 仁 著  泉町書房  7時間16分
いち開業医の自身の生い立ちや医療哲学、コロナ禍のツイッターとともに、新型コロナと治療を阻む壁と闘い続けた足跡をしるす。

4 とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか? ファイナンシャルプランナーに聞く貯金ゼロからの解決策
長尾 義弘 著  青春出版社  3時間28分
50代からの老後のお金の作り方を、ファイナンシャルプランナーが徹底指南。年金を確実に増額する方法、保険を見直すコツなどを紹介する。

5 犬の張り子をもつ怪物
藍沢 今日 著  宝島社  9時間34分
小学校で起きた大量殺人事件。子どもたちを噛み殺したのは巨大な“犬張り子”だった。科学的に証明できない殺人を法廷で裁くことはできるのか!?

6 買ったら一生バカを見る金融商品
荻原 博子 著  宝島社  5時間06分
NISA、毎月分配型投資信託、キャンペーン金利…。やってはいけない資産運用や、買ってはいけない金融商品を理由とともに具体的に解説する。

7 その言葉のおもしろルーツ 慣用句、モノの名前、カタカナ語…
博学面白倶楽部 著  三笠書房  4時間26分
なぜ刑事を「デカ」と呼ぶのか?電話の第一声はなぜ「もしもし」?なにげなく口にする言葉の意外な背景が見えてくる146のエピソードを紹介する。

8 ピンピン、ひらり。 鎌田式しなやか老活術
鎌田 實 著  小学館  5時間07分
合言葉はPPH(ピンピンヒラリ)、73歳の現役医師が、自身の入院治療体験をもとに、人生の下り坂を愉しく自由に生きるための極意を紹介する。

9 緊張しない・あがらない方法 リラックスのレッスン
鴻上 尚史 著  大和書房  4時間34分
演劇界には、リラックスするための膨大な知恵と技術の蓄積がある。演出家・鴻上尚史が、「人前でリラックスする方法」を分かりやすく伝える。

10 鋼の錬金術師 映画ノベライズ
荒川 弘 原作 曽利 文彦,宮本 武史 脚本 新泉 司 著  スクウェア・エニックス  6時間22分
国家錬金術師のエドは「賢者の石」を探し求め旅に出る。人々との出会い、ホムンクルスとの死闘。「賢者の石」の真実とは…。実写映画のノベライズ。

11 フィンランド幸せのメソッド
堀内 都喜子 著  集英社  7時間01分
5年連続で「幸福度ランキング世界一」を達成したフィンランド。全ての国民が平等に、そして幸福に暮らすことを可能にする、驚きの全貌を紹介する。

12 50代から実る人、枯れる人
松尾 一也 著  ディスカヴァー・トゥエンティワン  2時間49分
50代は人生のマネジメント次第で、今まで育てた果実を手にできる黄金期。人材育成のエキスパートが、豊かな人生を手に入れる55の秘訣を紹介する。

13 乙女の教室
美輪 明宏 著  集英社  4時間06分
みっともないことは、しない。言わない。聞かない。それが乙女です。美輪明宏が大切にしている24の「美しい心のあり方」を説く。

14 鵜野森町あやかし奇譚 猫又之章
あきみず いつき 著  PHP研究所  6時間21分
高校生の夢路は嵐の日、倒れていた猫又のサクラを助ける。サクラを居候させることになった夢路は、ひょんなことから同級生の咲と交流するようになり…。

【厚生労働省委託】
15 ウイグル人に何が起きているのか 民族迫害の起源と現在
福島 香織 著 8時間01分

16 整体法の基礎 19
野口 晴哉 著 8時間15分

17 水害列島
土屋 信行 著 9時間11分

18 繊細な人の仕事がうまくいくファッションのルール
アズ 直子,長友 妙子 著 5時間22分

19 ハーバーマス 人と思想176
小牧 治,村上 隆夫 共著 8時間33分

20 三木 清 人と思想177
永野 基綱 著 10時間47分

21 アッシジのフランチェスコ 人と思想184
川下 勝 著 6時間52分

22 ジョン・スタインベック 人と思想188
中山 喜代市 著 10時間52分

23 ライプニッツ 人と思想191
酒井 潔 著 14時間08分

24 魯迅 人と思想195
小山 三郎 著 林田 愼之介 監修 6時間59分

25 吉野作造 人と思想196
太田 哲男 著 13時間16分

 

点字図書

1 金魚の縁
風野 真知雄 著  KADOKAWA  全2冊
元同心の藤村、大身旗本の夏木、商人の仁左衛門は、大川のほとりで、一風変わった依頼の解決に邁進している。豪商の旦那が持ち込んだのは、跡取り息子が惚れた娘の身辺調査だったが…。

2 希望のステージ
南 杏子 著  講談社  全5冊
末期癌のお笑い芸人が人生最後の演芸会を企画。白血病の少年が、音楽発表会に出たくてハンスト…。東京郊外の個人病院に籍を置く女性医師・菜々子が、市民会館のステージに立つ患者をサポートする連作短編集。

3 好きのパワーは無限大
ハラミちゃん 著  KADOKAWA  全2冊
ストリートピアノを弾くようになった経緯、音大時代の授業の話、ピアノを弾くうえでの音楽的な話など、天才ピアニスト・ハラミちゃんがこれまでを語る。「ハラミ体操」の練習法も掲載。最後に楽譜あり。

4 新訳ドリトル先生の月旅行
ヒュー・ロフティング 著  KADOKAWA  全3冊
何者かに呼ばれ、ついに月までやってきたドリトル先生たち。行く先々で出会うのは、巨大カブトムシに巨大コウノトリ、そして不気味な巨人の足跡。みんな、なぜか隠れてこちらを見張っている。やがて先生たちまで巨大化して…。

5 麦ソーダの東京絵日記
久住 昌之 著  扶桑社  全3冊
町田、吉祥寺、下北沢、渋谷、新宿…。さまざまな街で麦ソーダ(ビール)を飲みながら、人生に思いを馳せる。久住昌之が、東京の街と食と酒を綴る。登場店舗の「巡礼ガイド」も収録。『みんなのごはん』連載に加筆修正。

6 いちいち反応しない心が手に入る本
内藤 誼人 著  三笠書房  全2冊
どうして小さなことでクヨクヨと悩んだり、他人の何気ないひと言に傷ついてしまうのか。そのメカニズムを明らかにするとともに、気持ちのざわつきをしずめ、不安、焦り、クヨクヨを上手に手放すコツを紹介する。

7 江戸川西口あやかしクリニック6
藤山 素心 著  光文社  全4冊
テンゴ先生と東北へ向かう亜月は幸せな時間を満喫するが、テンゴ先生から思いがけない言葉を聞く。世の中の負の感情がたまり、逢魔時に異界の門が開く現象が各地で発生していて…。『エブリスタ』掲載を加筆修正して文庫化。

8 卑怯者の流儀
深町 秋生 著  徳間書店  全4冊
警視庁組対四課の米沢に「女を捜して欲しい」とヤクザが頼み込んできた。米沢は受け取った札束をポケットに入れ、夜の街へと繰り出す。“悪い”捜査官のもとに飛び込んでくる数々の“黒い”依頼。解決のためには、組長を脅し、ソープ・キャバクラに足繁く通い、チンピラを失神させ、時に仲間である警察官への暴力も厭わない。悪と正義の狭間でたったひとりの捜査がはじまる!

9 実録、世界を釣る女
マルコス 著  KADOKAWA  全2冊
会社をやめた私は、怪魚・トーマンが棲むマレーシアに向かっていた-。怪魚ハンター・マルコスが、生い立ちから会社員時代、はじめての釣り、海外での釣り旅までを語る。

10 笑っていたい、君がいるこの世界で
麻沢 奏 著  スターツ出版  全3冊
中学3年の時に不登校になった美尋は、ゲームの推しキャラ・アラタを心の支えに、高校へ入学。クラスには、推しとそっくりな男子・坂木新がいた。彼と図書委員として一緒に過ごすうちに、美尋は少しずつ心がほぐれていくが…。

〈厚生労働省委託図書〉
11 うりぼうウリタもりのがっこう
おくやま ゆか 著  偕成社  全1冊
いのししの子、うりぼうのウリタはくいしんぼうであわてんぼ。森の学校に通って、ともだちと遊んでいます。そんなウリタの、ゆかいで楽しい毎日のお話4話。

12 こども詩集わくわく
全国学校図書館協議会 田中 和雄 編  童話社  全1冊

「ひとりでも多くの子どもたちに読書の喜びを!」と、小学生に読んでもらいたい近現代詩52篇を収録。谷川俊太郎、まど・みちお、阪田寛夫、岸田衿子、川崎洋、工藤直子、長田弘、草野心平、宮沢賢治など、詩人30余名の作品を掲載。

13 ごいっしょさん
松本 聰美 著  国土社  全1冊
ある日のこと、同じクラスの宮本くんが、ぼくに聞いたんだ。「〈ごいっしょさん〉って知ってる?」って。「ごいっしょさん」は、秘密の言葉を唱えると勇気をくれる妖怪だ。だけど本当は、妖怪博士のぼくが友だちを励まそうとして…。不思議な「ごいっしょさん」パワーが巻き起こすうれしい出来事と友だちの輪、友情の物語。

14 西遊記14 寂の巻
斉藤 洋 著  理論社  全2冊
玄奘三蔵の一行がやってきた朱紫国では、「国王の病気を治した者に、国土の半分を与える」と告知が出されていた。国王に呼び出された孫悟空は、脈を計るふりをし、丸薬を作るまねをしながら、本当の原因を探り、その病魔退治に乗り出す…。斉藤洋の西遊記シリーズ第14弾。

15 おめでたこぶた その1 四ひきのこぶたとアナグマのお話
アリソン・アトリー 著  福音館書店  全2冊
木かげの小道のほとりで、四匹のこぶたのきょうだいが、親代わりのアナグマと幸せに暮らしています。なかでもとびきり元気な末っ子のサムは、いつも好奇心旺盛。「幸運」をさがしに旅に出たり、森にたきぎ集めに行って川でおぼれそうになったり…。想像力が広がる全6話を収録。

16 手と手をぎゅっとにぎったら
横田 明子 著  佼成出版社  全1冊
ぼくたち虹川小学校の四年生は、栗の木特別支援学校で交流授業をすることになった。でも、特別支援学校っていったいどんな学校で、どんな子たちが通っているんだろう。事前学習で初めて訪れた特別支援学校は、ぼくにとって驚きの連続だった…。

17 やぎこ先生 いちねんせい
ななもり さちこ 著  福音館書店  全1冊
春の訪れとともに、山里の小さな小学校にやってきたのは「先生一年生」のやぎこ先生。さっそく、入学したばかりの一年生子やぎたちと、ハラハラドキドキの一年が始まります。けれども事件を起こしてしまうのは、やぎこ先生ばかり。学校に着ていく服に悩みすぎて遅刻したり、夏休みの宿題を出し忘れてしまったり…。でも、八匹の子やぎたちは、元気なやぎこ先生の背中を見ながら、たくましく成長していきます。

18 おめでたこぶた その2 サム、風をつかまえる
アリソン・アトリー 著  福音館書店  全2冊
元気いっぱいのこぶたのサムが活躍する「おめでたこぶた」のシリーズ第2巻。ある日、サムご自慢のズボンが風にさらわれて飛んでいってしまいます。サムはズボンを取り戻そうと必死で追いかけますが…。表題作を初め、バラエティーに富んだお話、全6話を収録しています。

19 俳句ステップ!
おおぎやなぎ ちか 著 佼成出版社  全1冊
七実には秘密がありました。それは、公園で出会ったおばあさんと一緒に密かに俳句を作っていること。そんなある日、七実のクラスに、市の俳句大会で大賞を受賞した人がいることが発表されます。ですが、そこから思いもよらぬ〈盗作問題〉が巻き起こり…。少ない言葉に思いを込める俳句の魅力や、句会を通じて人と心を通わせる楽しさを描いた、俳句入門にもぴったりの物語。

20 大坂城のシロ
あんず ゆき 著  くもん出版  全1冊
豊臣秀吉が天下をおさめていたころ、大坂城には虎がいたという。その虎のえさとして集められたのか、大坂の街から犬が一匹もいなくなったらしい。そんな時代にあって、懸命に生きようとする少女サチ、少年安吉、そして犬のシロの物語。大阪市内や大阪府の北部にある能勢町で言い伝えられてきた話をもとにしたお話です。

21 うさぎのモニカのケーキ屋さん
小手鞠 るい 講談社  全1冊
ここは森の中にある「モニカのケーキ屋さん」。うさぎのきょうだいがつくる、本日のスペシャルケーキを目当てに、りすの三きょうだいがやってきました。お店のテーブルは、たちまち、お客さまでいっぱいになりました。と、その時、くまのおじいさんがお店へ入ってきて…。

22  あらいぐまのせんたくもの
大久保 雨咲 著 童心社  全1冊
家の洗濯機がこわれてしまい、おばあさんはコインランドリーにやってきました。するとそこには1匹のあらいぐまがいました。「ぼくのハンカチもいっしょにあらってほしいの」。そのハンカチには「かなシミ」というシミがついていました。洗濯を待つ間、おばあさんはたずねました。「どんな悲しいことがあったのか、おしえてくれる?」。あらいぐまは「かなシミ」の理由をおばあさんに話してみることにしました。

23 コヨーテのはなし―アメリカ先住民のむかしばなし
リー・ペック 著  徳間書店  全1冊
アメリカ先住民の間では、コヨーテはもっとも賢い動物として知られています。けれど、賢いあまり、人や動物をだますペテン師とも呼ばれているのです。コヨーテが人間に火をもたらした話や、とらわれていた〈春〉〈夏〉〈秋〉を助け出した話、カメを助ける話、空を飛ぶ話など、アメリカ南西部に伝わるコヨーテの昔話をおさめています。

24 火の鳥ときつねのリシカ―チェコの昔話
木村 有子 編訳  岩波書店  全3冊
苦難の歴史を持つチェコの人々に今も愛される、知恵と勇気に満ちた昔話を集めました。きつねの導きで王子が宝物を手に入れる表題作、切り株の赤ちゃん「オテサーネク」、妖精にさらわれる「スモリーチェク」など、選りすぐりの24話。独特の不気味な雰囲気がただよい、深い味わいや骨太の面白さが伝わります。

25 はじめてのジェンダー論
加藤 秀一 著  有斐閣  全5冊
人はなぜ、女か男かという性別にこだわるのか。その〈分類〉をいかに意味づけ、社会制度に組み込んでいるのか。〈分類〉する実践に着目したジェンダー論の入門書。

 

テキストデイジー図書

テキストデイジーはサピエからダウンロードでの利用となります。

1 藤沢周平「人はどう生きるか」
遠藤 崇寿、遠藤 展子監修  悟空出版
「若者たちの挫折と自立」「悲哀と不条理の人生にもある一筋の光」「残照を浴びて生きがいを探す晩年」を描いた藤沢周平。藤沢作品を愛する著名人へのインタビューや数ある文庫本における名解説をまとめ、その魅力を振り返る。

2 北斎 富岳三十六景
日野原 健司 編  岩波書店
葛飾北斎が富士を描いた浮世絵版画の名作「富岳三十六景」。奇抜な構図、鮮烈な色彩で、日本人を魅了し、世界の芸術家達にも大きな影響を与えたこの作品を、カラーで全画見開きページで収録する。

3 看護師僧侶の妙憂さん!「いい死に方」ってなんですか?
玉置 妙憂 著  大和書房
どうせ死ぬのに、なんで生きるの? 孤独死したら成仏できない? 自殺してしまいたくなったとき、どうしたらいい? 看護師僧侶が仏教と医療から考えた、生き方が変わる32の問答を収録する。

4 残酷な進化論
更科 功 著  NHK出版
人体は「進化の失敗作」? ヒトも大腸菌も生きる目的は一緒? 心臓病・腰痛・難産になるようヒトは進化した? 「人体」をテーマに、誤解されがちな進化論の本質を明快に描き出した、知的エンターテインメント。

5 日本のものすごい10人の住職
『月刊住職』編集部 編  興山舎
貧窮者のために毎朝炊き出しを続ける山寺住職、自然生態系の破壊を警告し鳥類保護にかける住職…。住職ってこんなにすごい人だったのか! 仏教情報誌『月刊住職』編集部が選んだ、10人の寺院住職の営みのルポルタージュ。

 

 

編集後記

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は初の企画で、ボランティアさんのインタビューを企画してみました。いかがでしたか? インタビューさせていただいた担当西田としては、本当に楽しかったです! みなさんにも、そんな楽しさが伝わっていればいいな、と心から願っています。
そして、木村さんから新しいアプリの情報いただいたのでご紹介させていただきました。いつもありがとうございます!
こんな情報が知りたい、こんな企画やってほしい、というご希望あれば、ぜひ図書館までお知らせください。また、「みんなの広場」への投稿もお待ちしています。
図書館だよりへのご意見、ご感想もどしどしお寄せくださいませ。みなさんのお声をできる限り反映させていきたいです。よろしくお願いします。

 

 

「図書館だより」198号
発行日  令和5年2月17日
発行  山形県立点字図書館
〒990-0031 山形市十日町1-6-6
電話 023-631-5930
FAX 023-627-1118
メールアドレス yamaten@ic-net.or.jp

2023/02/17/